コラム

【馬力規制の歴史】普通車の上限がなくなった理由。軽の64馬力なぜ?

先日、中古車のスペックをみていると『280馬力』という数字を見かけました。

車に乗り始めたばかりの人にはピンと来ない数字かもしれませんが、30代以上の人には非常に馴染みのある数字でしょう。

若い頃はお金がなくてもスピードの出る車に憧れるものですが、以前は、馬力の上限が280に規制されており、一種の憧れの存在のような数字でした。
実際には、トルクの関係など他の数字も大切なんですけどねー、それでも280馬力というだけで「すげー車」という扱い。まぁ、実際すごいのですが。

しかし、この280という数字。いつの間にやら聞く機会が減ってしまったと思いませんか?

それもそのはず、2004年でこの規制は撤廃されてしまったのです。

そして、現在は上限を決めて規制をするという事は一切ありません。その結果、500馬力を超えるようなモンスター国産車も販売されています。

※ちなみに、280馬力は自主規制。国内自動車メーカーが正規販売する車に対して280馬力以上の数値を出さないよう自主規制するようにと行政が決めたものです。

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そもそも規制があった理由とは?

そもそも、なぜ馬力を規制する必要があったのか??

車の性能を高める上で、馬力の上限が決められているのは開発に制限をかけるようなもの。かといって必要以上の馬力があっても仕方がないといった事情もあるので、そういった事が影響しているのか。

馬力の規制ができたのは1989年。

1980年代に入ると“ユーザーにアピールしやすい数値”としてメーカーは馬力の向上で競うようになりました。

当時の日本の馬力表示は、グロス値表記だったのに対して、海外はネット値表記。しかし、値表記の違いで非関税障壁が問題となってしまい、1985年に海外と同じネット値表記に切り替ります。
ネット値表記は現在と同じ。これにより見かけ上の数値が下がり、実質の馬力でさらに競争が激しくなっていきます。

そして、馬力競争が続く中でついに以下の3車種が300馬力を達成。

  • インフィニティQ45
  • スカイラインGT-R
  • フェアレディZ

しかし、行政はこの状況を良しとはせず、ついに、運輸省の行政指導により馬力の上限を280までにするよう自主規制を呼びかけました。

これらの3車種は全て日産車ですが、日産もこの規制に応じ国内で販売するモデルは全て280馬力に下げることに。※海外向けは300馬力で販売

しかし、なぜ馬力がある事を行政が良しとしなかったのか?

それは、当時の車は自動ブレーキはもちろんのこと、エアバックも一般的ではなかったため、馬力の向上と共に交通事故の死者が増加し社会問題となっていたから。他にも、ボディの衝撃吸収力も現在ほどではなかったでしょう。

車の力に対して安全性能が追いついていなかったということ。

ちゃんとした理由があって規制ができたということですね。その後、2004年までは280馬力が上限として定められた時代が続きます。

いまでもやや古い中古車は280馬力を見かけますね。私が免許をとったのは2004年より前。実際に所有する事はありませんでしたが、280馬力には憧れたものです。

しかし、なぜ、安全のために作った280馬力という規制を再び解除したのか。

そもそも、ミニバンが主流となっている中で280馬力という数字は十分なもの。

最大の理由は、海外では技術向上と共に馬力が上がる傾向にあり、280馬力という規制をかけたままではガラパゴス化が進む恐れがあったからです。

日本ではガラケーの開発を続けたためにスマホ市場では取り残されましたね。まぁスマホは2004年より後の話ですが、こういった事態を防ぐためということ。

それに、安全性能が向上して大きな事故が減ってきたという背景もあるでしょう。2004年当時はエアバックが標準的なものとなっていました。

では、280馬力の規制が無くなって以降の馬力事情はどうなったのか。というと、

まず、日本を代表するスーパーカー『GT-R』は570馬力。ホンダの『NSX』も507馬力と大台に。その他、フーガといった大型セダンも333馬力に達しています。

そして、驚く事にヴェルファイアやアルファードといった大型ミニバンに関しても、モデルによって301馬力に達しています。

まぁ、実際に馬力をフルに活用するかどうかは別として馬力に余裕があると快適は走りにも繋がりますので、規制の撤廃によって車の性能は間違いなく上がったということになるでしょう。

軽自動車の64馬力が今でも残っている理由は?

普通車の馬力規制が無くなった一方で、軽自動車に関しては今でも上限が64馬力に定められています。

そもそも、64という数値は1987年にアルトワークスが達成したもの。

現在の軽自動車は660ccが上限ですが、当時は、550cc(1975〜1990年)が上限となっており、その中での64馬力でした。

普通車と同じく馬力競争が激化していく中での64馬力達成で、それをきっかけに上限の規制も64馬力とされました。

そして、この基準は660ccが排気量の上限となった中でも続いています。

車体サイズなどその他の軽自動車の規格

では、なぜ普通車のように規制を無くさないのか?

その理由に関しては、普通車の規制撤廃の際にも特に発表されていないのですが、普通車の撤廃理由から考えられることは、

そもそも軽自動車は日本だけの規格で海外では販売されません。ですので、元からガラパゴスで海外と競う必要がないという部分が挙げられます。

軽自動車は、一般の人でも手軽に車が使えるように(普及していなかった当時)税金面などを優遇したかわりにサイズや排気量を規制したもの。

仮に、馬力を高めると、ボディの作りもそれに合わせて強化する必要がありますし、そうこうしているうちに、普通車との違いも無くなってしまうでしょう。

大前提として、普通車より規格ダウンしないと軽自動車の存在意義がありません。

こういった事情から現在でも規制が残っているものと考えられます。

もっと言うと、660ccになった現在もノンターボであれば64馬力に達っする事がありません。必要十分でメーカー側としても特に規制を感じていないのかもしれません。

まとめ

以上が、車の馬力規制についてです。

普通車も軽自動車も理にかなった形で馬力が決まっているように感じますね。

今後は車の電動化が進んでいくと思われますが、きっと新たな規制もできるのでしょう。

その際には追記したいと思います。

⇒実は5人乗りOK!?意外に知られていない軽自動車の乗車人数

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